普段の料理でとろみをつけようと思ったら大抵片栗粉を使いますよね。
片栗粉は近くのスーパーでもコンビニでも売っています。
でも、とろみをつけるために葛粉を使おう!という人はかなりの少数派に入ること間違いないでしょう。
そもそも、この葛粉とは何なのでしょうか。
とろみをつける片栗粉の代わりに使えるものなのでしょうか。
この記事では、葛粉とは?そして片栗粉とは?この二つについて詳しく解説していきたいと思います。
目次
葛粉とは何?
葛粉とは一体何なのでしょうか。
名前は知っているけれど、実は何なのかはわからないという人も結構いるのではないでしょうか。
実は、葛粉とは、葛の根から作られたデンプンのことを言っています。
葛根湯という名前の方がもっと有名ですね。
葛根湯には薬効があるとされていて、体を温めたり胃腸の調子を整えたり、また肩こりを緩和したりなどの効果があるそうです。
元々デンプンですのでとろみをつけることもできます。
つまりは、体に良い作用のあるスペシャルなデンプンといったところでしょうか。
葛粉の種類・用途・作り方は?
葛粉の種類は大きく二つに分かれています。
一つ目は「本葛粉」と言われるもので、本来であれば葛粉しか使われていないものをそう呼んでいました。
このところは葛粉が50~70%ほどでも「本葛粉」と表示しています。
それに対して「葛粉」とよばれるものは、「本葛粉」よりも葛粉の比率が低くなっており、他のデンプン(例えばサツマイモなど)を混ぜたものでできています。
葛粉の用途は幅広くあり、和菓子につかうほか、洋菓子、とろみ付けや、葛湯など幅広く使われます。
葛粉は生産量が少ないだけでなく、葛の根を掘り出して生成する作業にも手間がかかるため高価になっています。
葛粉の栄養成分やカロリーは?
葛粉は、よく知られるイソフラボンやサポニンを豊富に含んでいます。
そのことから、更年期障害や骨粗しょう症への効能があります。他にも、肥満防止や肩こりの緩和、体を温め血流をよくする効果も期待できます。
また、葛粉は葛の根からとったデンプンなので、成分のほとんどは糖質からなる炭水化物です。
もちろんカロリーもあるということです。さらにタンパク質や脂質にミネラルも含んでいます。
サツマイモやジャガイモのデンプンと比べてだいたい同じようなカロリーで100gあたり347kcalになっています。
葛粉と片栗粉の違いは?
どちらかといえばそんなに各家庭にあるわけではない葛粉と、料理などに一般的に使われている片栗粉。
それぞれどんな特徴があり、どんな違いがあるのでしょうか。
次の5つの観点から比べてみます。
- 何の原料でできているのか
- 用途はどう違っているのか
- 価格はどのくらい違うのか
- 栄養成分の違いはどうか(特に鉄分とイソフラボン)
- 冷めたときの質感の違いはどうか
一見同じような粉ですが、比較することで違いはみえてくるのでしょうか。
①原料
葛粉はツル科の葛の根からとられたデンプンのことをいいます。
一方で片栗粉は同じデンプンですが、カタクリから作られていたのでこの名前がついていました。
今やカタクリが激減しジャガイモから作られるようになっても名前はカタクリコのままになっています。
また、葛はジャガイモに比べてかなり希少であり、見つけて掘り起こすのも精製するのも手間と暇がかかります。
対して、ジャガイモはご存じのとおり簡単に手に入るものです。
そのことからも片栗粉の方が身近な食材になっているのですね。
②用途
葛粉の使い道といえば、葛餅をはじめとする様々なお菓子がありますね。
他にも片栗粉のようにとろみ付けや料理に使うこともできます。
葛粉には薬効があるので、葛湯にして飲むのも特別な効果があります。
それに対して、片栗粉もとろみ付けをしたり、食材にまぶしてやいたりするのはもちろんのことですし、いももちなどのつなぎとして使うこともできます。
成分がだいたい同じなので、用途としても同じように使えるのですが、大きな違いは薬効があるかないかなのですね。
小さな違いで言うと葛粉の方がとろみのつき方が弱いという違いもあります。
③価格
さて、価格の違いはどうなのでしょうか。
葛粉も片栗粉も主な成分はデンプンなのですが、葛粉の方がより希少でかつ薬効という付加価値がついています。
ですから葛粉の方がどうしても高価になっています。ざっくりいうと10倍くらいの値段でしょうか。
また、最近は葛粉の比率が下がっているものも「本葛粉」と名前を付けていいことになっているので、ものによってはそんなに高価でない値段で、例えば、手に入れることも可能なのです。
ただ、葛粉のみを使いたい場合にはどのくらい葛粉が使われているかを確認してから購入するようにしましょう。
④栄養成分(鉄分・イソフラボンの量)
栄養成分について細かく見ていきましょう。
葛粉の大部分は炭水化物、それも糖質でできています。
ビタミンミネラル成分では、特に鉄分が多く含まれています。
また、イソフラボンも豊かです。イソフラボンとは女性ホルモンの働きをすることで有名ですね。
よって、更年期障害や骨粗しょう症によい効果が期待されます。
片栗粉も大部分は炭水化物で糖質でできていることは同じです。
鉄分も多めですが、葛よりはずっと低い値です。
また、イソフラボンは含まれていないので特別な効果はないのですね。
⑤冷えた時の質感
葛粉がよく和菓子に使われる理由の一つが冷えたときの質感です。
葛粉は冷めてもプルっとした質感を保つことができます。
葛粉でないと透明感のあるプルプルという質感は出せないので、葛粉を使用しているのですね。
一方で、片栗粉は冷えると形を保つのは難しくなります。
例えば、ゆるいプリンを想像してみてください。型から出すとつぶれて広がってしまうのです。
ですから、プルプル感を出したいときには、葛粉を使うのですね。
少し形が緩んでもいい場合には片栗粉、と使い分けていくといいですね。
葛粉は片栗粉で代用できる?
それでは、葛粉は片栗粉で代用ができるのでしょうか?答えは「できる」です。
どちらもデンプンですので、代用することはできるのです。
葛粉でお菓子を作るときには、片栗粉で代用しているレシピを見てみるといいですね。
分量が少なめですむので専用のレシピを参考にした方が失敗が少ないですよ。
また、片栗粉も水で溶いたものを暖かくして飲む方法は胃腸の調子が悪い時に使われていました。
実は、特別な成分や薬効はありませんが、お腹に優しいという点では一緒ですね。
胃腸の調子が悪い時のお財布に優しいホームレメディになりますね。
逆に片栗粉は葛粉で代用できる?
片栗粉は葛粉での代用ができるのでしょうか。これも可能です。
ただ、葛粉の方が高価で薬効もあるので、用途によってはとてももったいない感じがしますね。
もちろん、同じ性質ということで、とろみをつけることもできます。
葛粉を使うと、片栗粉よりもやわらかめの上品なとろみを楽しむことができますよ。
家族そろって調子がよくないときなど、薬効を狙ってわざわざ葛粉でとろみをつけてみるというアイデアもいいかもしれませんね。
分量は片栗粉よりも葛粉の方がやや多めに必要になりますよ。
まとめ
さて、ここまで葛粉とは何なのかを改めて確認しながら、片栗粉と比較してみてきました。
葛粉とは葛の根からできたものですが、片栗粉の原料と同じデンプンだという共通点がありました。
また、いくつかの相違点がありましたが、大きな違いは値段と薬効ですね。
葛粉が値段が高めで、薬効もついてくるということでした。
それぞれ代用も可能なので、料理やお菓子作りでちょっと気分を変えてみるもよさそうですね!
ああ、葛餅が食べたくなってきました!